概要

エンタープライズCMSは、多部署・多拠点などの組織運用を想定したCMSを指す実務上の呼称です。特定の機能一式を定める単一の公式定義や技術標準ではなく、組織の要件に沿って使われます。

ここではWebサイト向けのコンテンツ管理を扱います。企業の文書管理全般を指すECMと同じ意味にはせず、利用者の人数だけで必要性を決めないことが大切です。

組織運用で検討する要件

検討するのは、組織として編集・承認・公開を続けるための要件です。以下は確認項目の例であり、すべての製品に共通する必須機能ではありません。

権限・承認と運用体制

編集できる人と公開を判断する人を分け、担当の範囲を整理します。製品の一例として、PowerCMSはユーザーの役割に応じた権限設定や、承認を経た公開の仕組みを備えています。[2]

  • 部署やサイトごとに、編集できる範囲をどう分けるか。
  • 内容の確認と公開の判断を誰が担当するか。
  • 担当者の異動や退職時に、権限をどう見直すか。

多サイト・連携・基盤の管理

複数のサイトや既存システムを扱う組織では、管理範囲と稼働環境も検討対象です。PowerCMSのエンタープライズ版の紹介では、リモートバックアップや既存HTMLの一括インポートなどの機能が示されています。これは一製品の機能例です。[1]

  • サイト間で共通化する情報と、個別に管理する情報を分ける。
  • 既存システムとの連携範囲と、その管理担当を決める。
  • 保守や障害時の対応を、利用組織と提供側でどう分担するか確認する。

SaaS・OSS・ヘッドレスとの関係

エンタープライズ、SaaS、オープンソース、ヘッドレスは、同じ基準で並ぶ排他的な種類ではありません。以下は、言葉が表す分類軸を整理したものです。

分類語

何を分類するか

別の軸と混同しない点

エンタープライズCMS

想定する組織運用・要件

提供形態を指定しない

SaaS型CMS

サービスとしての提供形態

利用組織の規模とは別

オープンソースCMS

ソフトウェアのライセンス

運用場所とは別

ヘッドレスCMS

管理側と表示側を分ける構成

サービス提供の方式とは別

そのため、組織向けの運用要件を満たしつつ、別の分類軸にも当てはまる構成を考えられます。名称だけで機能の有無や優劣は判断できません。

自組織に必要な範囲を考える

必要な範囲は、機能数ではなく、自組織の運用と照らして決めます。導入の検討では、たとえば次の点を整理します。

  • 現在のWebサイト運用で、確認や公開が滞る場面はどこか。
  • 部署ごとに異なる要件と、全体で統一すべきルールは何か。
  • 導入後の保守・問い合わせ・設定変更を誰が引き受けるか。
  • 将来の拡張に備える範囲と、現在必要な範囲を分けているか。

企業が使うという理由だけで大規模向けの構成を選ぶのではなく、必要な管理体制を具体化して照合します。

参考文献・出典

  • Supervisor
    supervisor

    桑田 陽介

    代表取締役

    Web制作・運用・改善に20年以上携わり、WordPress、CMS構築、SEO、AWSなど、Webサイトの企画・制作から公開後の運用まで幅広く担当。実務経験にもとづき、本記事の内容・表現・技術情報を監修しています。

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